私撰プリンスリーグ九州2009ベストイレブン

 今年はプリンス九州全節を観戦した。もともとマリノスユースを応援しているため、関東プリンスとの掛け持ちだと全節観戦は難しいが、今シーズンは腰を据えてみた。こうしてみると、充実感と選手への愛着めいたものも出てくる。折角なので、目に付いた選手の備忘録のためにベストイレブンを選んでみようと思う。もちろん、クラ選、インターハイ高円宮杯、高校選手権とシーズンはこれからだし、これはあくまでも一サッカーファンの他愛もない評価だ。


(GK)
中西竜兵(東海大五、VALENTIA)が安定していた。長身を活かしたハイボールの処理はミスが少ない。ただし、キックは改善の余地がある。
浪花皐太(東福岡、わかばFC)は、コーチングのいいGK。下級生では、U-15時代から見る機会のあった、吉満大介(2年、神村学園、アミーゴスU-15)や中山開帆(2年、東福岡、小倉南FC)が順調に成長しているようだ。

(CB)
篠原弘次郎(東福岡←セレッソU18、セレッソU-15)が今年のプリンス九州ベストディフェンダー。力強さと技術を兼ね備える。落ち着いているが、激しいプレーも厭わず、ピンチを未然に防ぐ。このポジションで九州では図抜けている全国レベルの選手。
もう一人は難しい。刀根亮輔トリニータ、若松中)は、慎重は180足らずだが身体能力が高く、技術も高い。蔵薗友裕(鹿児島城西、鹿児島育英館中)は、ハイボールへの強さでは一番。共にセットプレーでも活躍した。

(右SB)
松原健(2年、トリニータ、FC中津2002)は、クロスの精度が高い大型サイドバックで成長が楽しみ。
鷹尾真平(東福岡、アビスパU-15)は、攻撃的な左サイドとバランスを取ってか攻め上がりは少ないが、間合いが良く自らのサイド突破を許す場面が少ない計算できる選手。

(左SB)
前半戦で素晴らしい活躍を見せたのは岩崎司(大津、城南中)。スピードのあるドリブルとオーバーラップから度々決定機に絡んだ。
シーズン序盤には攻撃的MFをやっていたりしたが、プリンス後半戦には本来のポジションに戻った孫正倫(アビスパ、ミレニオアスレティック)。デンジャラスなまでに攻めっ気溢れる選手で、昨年は強烈な左足を見せる一方で守備意識に問題があったが、今年はかなり改善している。クロスよりもオーバーラップからのシュートや鋭いラストパスが持ち味。

(MF)
守備的MFでは、河井卓也(アビスパ、アヴァンサールFC)が圧倒的な存在感を示した。潰し役としても優秀だが、キープ力、捌きに加えて、勝負どころでの上がりと正確なシュートがある。トリニータ戦でのゲームの流れを変えたドリブル、シュートは素晴らしかった。キャプテンシーもある。
豊永翔也(東福岡、大阪市SS2001)も、単なる潰し役ではなく攻守の切り替えのポイントとなる選手。井原伸太郎(神村学園神村学園中)は、展開力のあるボランチだが、チーム状態から後半戦ではCBに移り、能力を充分に発揮できたとは言い難い。今後に期待。
セントラルMFでは、鮫島晃太(2年、鹿児島城西、鹿児島育英館中)。すっかりプレーメーカー振りが板に付いた。キープ力、ラストパスの精度の高い、優雅な大型MF。痛快なロングシュートもある。
同じく大型MFの谷口彰悟(大津、熊本ユナイテッドSC)は、怪我から終盤戦にようやく復帰、今後の活躍に期待。
サイドハーフでは、松内徹(2年、東福岡、アビスパU-15)が大活躍。左足からのキックは速さ、コントロールとも抜群で、アシストの山を築いた。ミドルシュートも強烈。運動量と守備での頑張りはまだまだだが、それを補って余りある才能。今のところは古賀誠史タイプか。
藤崎裕太(大津、小川中)は、スピードのある右サイドアタッカー、切れのあるドリブルと切り返しからのシュートが特徴。

(FW)
アタッカーは多士済々、CFタイプ、万能系タイプ、セカンドストライカータイプに分けてみる。
多いのはセカンドストライカータイプ。一番手は赤崎秀平佐賀東、パルティーダ)。チームは最下位に終わったが、孤軍奮闘。スピードと動き出しのタイミングは抜群。東海大五戦、退場者が出て一人少ない状況で、自陣から左サイドを一気に突破、内に切り込んでゴールを決めて見せたプレーは凄かった。
澤田崇(大津、菊陽中)は、スピードとテクニックに優れ、アシスト能力も高い。大山直哉(神村学園神村学園中)は、小柄だがガッチリした突貫小僧系。途中投入されることが多い横山卓郎(2年、トリニータトリニータU-15)は、泥臭さと激しさでチームにカツを入れる。後藤優介(1年、トリニータ、鹿屋東中)は、対照的に高校1年でまだ線が細いが、ボールを引き出す動き、ラストパスへの反応が良く、大事な場面で度々ゴールを決めた。牛之濱拓(2年、アビスパアビスパU-15)は、ウィングタイプだが終盤はCFで起用された。懐の深い切り返しが武器。終盤戦には、昨年はスーパーサブとして活躍したウィングタイプの平原慎也(鹿児島城西、鹿児島育英館中)が復帰、徐々にコンディションを上げている。
万能系には好選手が揃った。吉原正人(アビスパアビスパU-15)は、ドリブル、ボールキープ、切り返し、強烈なシュートと「一人で何でもできる」タレント。シュート力と精度があり、角度のないところからも平然と狙ってくる。
深町健太(東福岡、VALENTIA)は、スピード、ドリブル、シュートとすべての面で水準以上。それに加えて前線からの労を厭わないプレスと大事なところで決める信頼性の高さがある。
久保武大(アビスパ、鴻南中)は、CF系に近いが、プリンス終盤戦にはサイドハーフに移った。フィニッシャーとしては吉原に劣らない。無回転系の強烈なFKを持つ。潜在能力では松本大輝(大津、熊本ユナイテッドSC)が一番かも知れない。スピードに乗ると容易には止められない大型快速FW。しかし、出来不出来の波が激しく、スペースを消されて何もできない試合もあった。大きさと速さという基本能力は高く、これからの伸びしろ次第の選手。
CF系は少ない。ボールが収まり、頑張りが利く選手としては、渡辺哲哉(2年、トリニータトリニータU-15)。身体能力が高く、180足らずだが、ポストプレーが強い。体が強く、こぼれ球を決める場面も多かった。
坂本一仁(鹿児島実、高田FC)は、鹿実らしいロングボールで一気に前線へ、の作戦によく応えた。ホットテンパーで自滅することも多いが、鋭い反転シュートなど、型にはまると強い選手。


ベストイレブン
GK 中西竜兵  (東海大五
DF 松原健   (2年、トリニータ
   刀根亮輔  (トリニータ
   篠原弘次郎 (東福岡)
   孫正倫   (アビスパ
MF 河井卓也  (アビスパ
   鮫島晃太  (2年、鹿児島城西
   松内徹   (2年、東福岡)
FW 深町健太  (東福岡)
   吉原正人  (アビスパ
   渡辺哲哉  (2年、トリニータ

フォーメーション
(4−3−3)
−−−−渡辺−−−−
−吉原−−−−深町−
−−松内−−鮫島−−
−−−−河井−−−−
孫−篠原−刀根−松原
−−−−中西−−−−
(4−2−3−1)
−−−−渡辺−−−−
−松内−吉原−深町−
−−河井−−鮫島−−
孫−篠原−刀根−松原
−−−−中西−−−−

MVP 深町健太 (東福岡)
最優秀1年生 後藤優介 (トリニータ