クラ選、インターハイ九州代表注目チーム

続いてクラ選、インターハイの予習メモ。

東福岡

1位 9勝1分1敗 得点32 失点13

フォーメーションは例年通りの4-1-4-1。
GKは浪花皐太(わかばFC)。精力的なコーチング。
右SBは鷹尾真平(アビスパU-15)。守備の堅い選手。CBはキャプテンの篠原(←セレッソU-18、セレッソU-15)と長身の興梠雄亮(西南FC)。左SBは攻撃的MFからコンバートされた増田忠紘(古賀東中)。
アンカーは豊永翔也大阪市SS2001)。強さに加えて捌きも確実。
2列目の右サイドは固定ではないが、一番手は飛び出しとシュートの良い田中達也(2年、アビスパU-15)か。次いで佐藤弘之(FC大分21)と佐々木陸(2年、小倉南FC)。中の二人は深町(VALENTIA)と兒玉慎也(宮崎日大中)。左サイドは松内(2年、アビスパU-15)。
1トップは中尾優作(FC前橋)。

完成度の高さでプリンス九州では独走状態となった。DFに篠原、MFに松内、FWに深町と各ポジションに能力の高い選手を揃えている。例年高さ優先でボールコントロールはもう一つのCBに篠原が入って落ち着いた前線へのフィードが可能になり、アンカーの豊永の捌きもいいので、高いポゼッションを保つことができた。ただ、6月以降は相手の研究もあってか苦戦する試合が増えてきた感もある。引き気味にスペースを消されると中盤、後方でボールを回すか、ドリブル頼みかで攻撃が単調になりがちだった。また、松内、増田と攻撃的な選手を並べた左サイドの守備は穴がある。とはいえ能力の高い選手を多く揃え、インターハイでは優勝候補の一角だろう。
中心選手にアビスパU-15出身の選手が多い。正直言って好感が持てないが、地元での東福岡とアビスパとのブランドの差、アビスパ自体の状況を考えると仕方がないことだろうか。

トリニータ

2位 7勝1分3敗 得点21 失点12

メンバーがなかなか固まらない。プリンス中盤戦までは4-4-2だったが、終盤戦では4-2-3-1に。クラ選もこのフォーメーションか。
GKは浜川アーレン優也(クレアール山口)。
右SBは松原(2年、FC中津2001)。CBはキャプテンの刀根(若松中)と大きくはないがヘディングの強い岩本智裕(FC大分21)。左SBは楠田滝太(2年、レオーネ山口)。
ボランチは小柄だが精力的な田内廉(2年、トリニータU-15)と片桐瑞貴(トリニータU-15)。藤田恭輔(2年、トリニータU-15)の途中投入が多い。
2列目の両サイドは森信太朗(1年、サウーディ岡山)と新井祐輝(クレアール山口)がスタメンだが、突貫小僧の横山卓郎(2年、トリニータU-15)とスペースを突く後藤優介(1年、鹿屋東中)の途中投入が多い。トップ下は高いテクニックの為田大貴(1年、長崎アシスト)。
1トップは渡辺(2年、トリニータU-15)。

能力は高いが攻撃的な選手に偏っている感がある。メンバーを固定できず、内容、スコアとも圧倒したゲームはなかった。得点の少なさがそれを示している。ただし、爆発力はあり、大津戦では0-3から逆転勝ち、結果的にこの勝ち点3が高円宮杯出場につながった。GK浜川は大柄でなかなかのショットストッパーだが、気持ちの優しいところがあるのか、飛び出しの判断、コーチングなどに難点があり、DFとの連携ミスからの失点が多い。注目の1年生MF為田は、守備意識と運動量はまだまだだが、随所にセンスの良いところを見せる。ただ、為田を含め2列目の選手の前への勢いに欠け、厚みのある攻撃ができている時間帯が少ない。中心選手の過半数が下級生であり、これからの成長が期待されるチームだろう。松原、渡辺、藤田、為田、後藤ら楽しみな選手が多い。

アビスパ

3位 6勝3分2敗 得点28 失点22

フォーメーションが固まらず、4-2-3-1だったり4-3-3だったりしたが、プリンス終盤戦では4-4-2。
GKは大岩根優作(2年、ブレイズ熊本)。
右SBはずっと表隆太郎(長崎レインボー)だったが、終盤戦では元々中盤の大矢裕之(アビスパU-15)がコンバートされた。CBは森川駿アビスパU-15)と河本有輝也(2年、ミレニオアスレティック)。左SBは孫(ミレニオアスレティック)。
ボランチは河井卓也(アヴァンサールFC)と浦紘史(2年、FCレオーネ)。右サイドハーフは森井和弥(新居浜市立西中)。桜谷将悟(1年、アビスパU-15)の途中投入が多い。左サイドハーフは久保武大(鴻南中)。
2トップは吉原(アビスパU-15)と牛之濱拓(2年、アビスパU-15)。

トリニータより個々の選手の素質は下回る印象はあるが、チームの「心臓」がしっかりしている分、互角の戦いとなった。プリンス終盤戦にチーム状態が上昇したが、これはボランチの河井、浦のコンビが固まったことによるものが大きい。このダブルボランチの攻守のバランス、厳しい守備、機を見た攻撃参加は高水準で、安定したゲーム支配をもたらした。前線には絶対的エースの吉原、左サイドでは攻撃的SBの孫のオーバーラップ、セットプレーでは久保の強烈なFK、と得点の形を持っている。一方、その他のポジションはJユースの全国レベルと比べるとちょっと落ちる。GK大岩根はキャッチしてからの素早いフィード、スロー、積極的な前への飛び出しなど志の高さはあるが、フィードのミスや前に出すぎでロングシュートを喰らうなどのポカが必ずある。CBの二人は高さに欠ける。クラ選は無欲で挑戦、が正直なところだろう。


その他のチームについては少しずつ。
4位の東海大五は、最終節にまさかの敗戦で涙を飲んだが、今年は率直に言って「強い」チームではない。負け試合を引き分けに、引き分け試合を勝ちに、としぶとく勝ち点を積み上げて上位に喰らい付いた。失点は少ない(2番目)が得点も多くない(7番目)。
5位の鹿児島城西は、怪我人の多さを考えると、この順位は健闘とも言える。MF鮫島は期待通りの活躍だったが、FW平原は終盤戦に復帰、キャプテンの室屋やFW林はまだ復帰していない。今後に楽しみのあるチームだろう。
6位の大津は終盤戦に息切れ。得点32は東福岡と並んで一番多いが、失点28はワースト。特に終盤戦4試合で失点15と守備が崩壊した。トリニータ戦では0-3から、神村学園戦では1-3から逆転負け。FW松本、澤田、MF谷口、右サイド藤崎、左サイド岩崎と能力の高い選手が多い。どう立て直してくるかだが、勝負処に弱いのは例年のこと、どうだろう。